錦秋の神々の遊ぶ庭の大縦走 1日目 十勝岳

2017年9月15日~17日

 

 

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北海道のど真ん中、大雪山系十勝岳からトムラウシ山、旭岳と大縦走する66kmに渡る長い長いトレイルを歩いてきました。

 

 偉大なるその縦走路は「カムイミンタラ」、まさに「神々の遊ぶ庭」。

 

最高に辛く、最高に美しい3日間を堪能しました。

 

 

 

この衝動や感動は140字と4枚の写真ではとても伝えきれない、写真に文章を付与して残したいと思ってこれを書いています。

面倒なんでたぶん今回限りで次回作は無いと思います。

そしてたぶん長くなります。

 

 

 

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コースとしては望岳台から入り北上して姿見まで抜けるコース。

当初は北から南下するコースを考えていたが、旭川で立ち寄った北海道の有名なアウトドアショップ秀岳荘の店員さんと話をして情報を仕入れる中で、この時期はトムラウシ以南の水場は全て涸れていて水は取れないということを知った。

水場が少ないとは聞いていたが全く取れないのは想定外。

ならば下界から水を担ぎ上げられる序盤に、水場の無い十勝岳トムラウシを一気に攻略してしまうほうが安全だと判断した。

結果的には降雨もあってどこでも水は取れる状況になっていたが、晴れが続いた後だとなかなか厳しいことになりそうだ。

 

 

前日に旭川駅からバスで白金温泉まで移動し、そこからCT1:10で望岳台まで歩き、そこで睡眠をとって、朝一で十勝岳へ向かって登り始めた。

 

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9月の北海道の山はもう秋に片足どころか両足突っ込んでいてとても寒い。

寝起きの低い体温を暖めるために十分着込んで歩き出す。

望岳台からしばらくは緩やかな斜面を登っていく。

 

 

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十勝岳は常に噴煙をモクモクと上げている火山で、上り口からずっと火山らしい黒い軽石の敷き詰められた見晴らしのいい道が続く。

高い木は生えておらず、背の低い草も黄色く黄葉していた。

 

途中で下界からJアラートが鳴って北朝鮮がミサイルを発射したことを知る。

 

「地下や安全な建物に入って下さい」

 

一番無理な状況です。 

 

十勝岳避難小屋から少し急になっていき、昭和噴火口まで上りきるとなだらかな大地のようになっている。

ここまでは見えなかった十勝岳の山頂がいよいよ目に入った。

 

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そして、後ろを振り向くとー

 

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前日の雨がもたらした雲海が富良野盆地に広がっていた。 

 

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天気予報では曇りのち晴れ。

午後からは青空の下、最高の稜線歩きだ。そう思って山頂を目指してひたすら標高を上げていく。

 

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歩き始めて3時間、ゆっくりとしたペースではあるが着いた。

 

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十勝岳(2077m)山頂

 

あいにくの白い背景。

ザックを置いて腰を下ろしているとガスも出てきてしまった。

寒いので先を急ぐことに。

 

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普段の日帰り登山であれば山頂を踏めば後は下るだけだが、今回は山と山をつなぐ縦走。次なる山へ下って登り返すことを繰り返さねばならない。

先は長いのだ。

 

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十勝岳の下りは富士山の大砂走りのように1歩踏み出せば3歩進むタイプの下りで快調に走れる。

 

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下りきってここから美瑛岳までの登り返しだ。

 

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黒い山肌に一面の黄葉。

ガスってはいるものの見事だった。

 

ここで雨がパラついてきてレインウェアを装備。

話と違うぞ…もしかして予報が大きく変わってしまったのではないか。

明日から雨だとかなり辛いぞ…不安でモヤモヤした気分で進む。

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美瑛岳の下りに差し掛かる頃には雨も強くなってきてここから先の記憶はほとんどない。

とにかく避難小屋を目指して感情を無にして歩いていただけだ。

 

僕は非ゴアのトレランシューズだったので靴は当然のようにビショビショに浸水した。

今回はギリギリまで切り詰めた攻めたパッキングをしたので靴下も念のため替えを1足持ってきているだけ。

早くも予備を使うことになりそうだ。

 

そうこうしているとガスの向こうに人工物の陰が。

美瑛富士避難小屋だ!!!

 

コースタイム7時間40分、11kmの距離を歩いて無事に小屋に着いた。

寒かった・・・寒すぎる・・・。

 

時間的にはもう3~4時間先の双子池キャンプ地にもいける時間だが、この雨の中歩くのもツェルト泊も辛すぎるので、迷わずここで立ち止まることに決めた。

翌日の自分たちに頑張ってもらうしかない。

 

とりあえず火を着けてお湯を沸かして戻した米をお腹に流し込んで濡れた荷物を干してもまだ13時。

電波も通じずひたすら暇、そして極寒の中暗くなるまで「無」の時間を過ごした。

 

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正直気分は沈んでいて、明日も雨が降ったら引き返すことも頭の片隅にあった。

トムラウシ方面まで進んでしまうともうエスケープはない。

思考は悪い方悪い方へと進んでしまうばかりなのでただ寝ることにした。

 

今回は攻めたファストパッキング()ということでシュラフはスリーシーズンのものですらなく、夏用の半身キルトに自作のアルミ蒸着ビビィでブーストするという貧弱なものだった。

しかもレインウェアを着込むことで寒さを凌ぐ作戦だったが、当然ビショビショで乾いておらず、一層貧弱に寝床となった。

当然寒すぎて目を覚ましたが、ありったけの衣類を着込み、テントも足元に巻いて寝たのでなんとか寝れた。

明日からの不安は募るばかりだ・・・。

  

2日目に続く。